鑑賞するきっかけは一枚の絵でした。
今年の6月、四国八十八ヶ所巡りで愛媛県を歩いていた時に一枚の絵を見つけたので何気なく写真を撮りました。いかにもパンクシー的な感じなので「大変です!すぐオークションに掛けなければっ!」「なかなかウィットに富んでいますね」と掲載しました。
その後、ご覧になった方から「あの壁のバンクシー風の落書きは、自由にお書きください的な意味なのかな?もしかして、バンクシーそのものとか!?」とのご意見をいただきました。⇒ご自由にお書きくださいの発想はなかったので、なるほどと思いました。(バンクシーが道後温泉に入りに行った帰りに仕事して行ったとは思えないけど…でも、茨城にも出現したみたいですしね…)
答えは地図を調べて分かりました。この壁が「唐子工芸」という看板製作会社だったのです。google mapのストリートビューで県道156号沿いを確認するとラットの姿が確認できます。この会社は看板屋なのに看板を使った広告を出していないのです。バンクシーもどきのラットと入口に看板屋とわからない洒落た看板のみ。なかなか、シブい会社ですね。是非、作成した看板を見てみたいものです。
映画のセットのような展覧会へ。
ということで、ふとした縁から、久しぶりに展覧会を見に行くことになりました。絵画などは守備範囲外なのであまり行く機会がないのですが、TVのワイドショーでも紹介していて、写真撮影可能で、当時の風景の再現などをセットのように再現しているという触れ込みもあったので、終了間近に急いで行って来ました。
場所は、品川区の天王洲アイルですが、京浜急行「北品川駅」からも15分少々なので歩いて行ってみます。途中、旧東海道の商店街がありますがここの散策は今回スルーします。
旧海岸通りを通り越して、運河を渡れば、会場の「寺田倉庫G1ビル」です。
巨大なスプレー缶がお出迎えです。
入るまでに30分弱並んで待ち、入館時に音声ガイドの端末を借りました。中村倫也氏が案内してくれます。
さて、入って行くと確かに普通の展覧会ではありませんね。セットが組まれてます、ここはTVでも紹介していた、坂道のように斜めに建物をセットしたところですね。最初なので写真に遠慮があります。
2014年に政府通信本部近くの公衆電話に描かれたもので、スパイ行為に関する風刺です。この絵は偽物ですが、セットとともに雰囲気を楽しむというのはなかなか新しい体験です。
ひとつひとつ額装されているものもあります。ハリケーンの災害対策に対して風刺している作品です。左上に音声ガイド案内のマークがあります。
作品とは関係のないオブジェも作られていました。
バンクシーを撮影している写真家によるショット。さすがに顔は分からないようにされていました。
いました!四国で見たラットの仲間です。この作品は「ロンドンは機能していない」と揶揄したバンクシーの作品をキング・ロボというライバルが「I ♡ London」に書き換えたものだそうです。
壁のセットには、プロジェクターでラットが登場する粋な演出がありました。
右がオリジナルの"真珠の耳飾りの少女"ならぬ"警報機の耳飾りの少女"で警備産業に対する批判で描かれたものが、コロナ禍になり誰がやったか分からないがマスクをつけられたもののレプリカです。
ちよっとチープな感じだけどガード下のような演出もありました。
何気ないセットはいいかも。
ラットのシリーズも飾られていました。
催涙ガスに巻かれるコゼットもありました。警察関係者が催涙ガスを使ったことに対する抗議とのことです。
ハンマーボーイです。
「Elephant in the room」は英語の慣用句で、部屋の中に目立つ象がいるのに誰も話題にしない⇒見て見ぬふりをする事を指す言葉なのだそうですが、象を壁紙と同化させて目立たないようにさせる点がウィットに富んでいて個人的には好きな作品でした。
実際には本物の象にペイントしたという解説があったのですが、それもスゴイですね。
そうそう、これも見た事のある作品です。
対面には大きく壁面に描かれて、ダイナミックでした。
戦争シリーズは切ないですね。
シュレッダーにかけられたこの絵は、「世の中はお金じゃない」ということを表してくれたならばいいのですが…。
バンクシーに関しては、賛否両論あり、作品を発表した場所や方法など問題のある点もあるかもしれませんが、考える機会を与えてくれている点では評価されるべきではないかと思います。日本で同様のことを行う人がいたらちょっと眉をひそめてしまうかもしれませんが…。
全体として、参加型のアトラクションのように楽しく巡る事ができました(本物ではないものを鑑賞してそこそこ楽しめるというところはユニークです)。音声ガイドを聞けたのも良かったのかもしれません。そろそろ天王洲では展示が終わってしまいますが、名古屋で同じ内容の展覧会が開催されるようです。
また、別のバンクシー展が原宿でも行われるようですが、こちらはどういう趣向なのでしょうか?
たまには、普段と違った所に行くのも良いものです。
帰りにちょっと寄り道…。
さて、帰りも京浜急行方面に行ってみましょう。「新馬場駅」のちょっと北側から第一京浜を目指します。
第一京浜までやってくると、「品川神社」が見えてきます。そう、左上に富士塚があって、ここに行ってみたかったのです。
石段を途中まで登った左側に富士塚への入口がありました。鳥居の向こうに「足神社」があり、マラソンを走るので怪我の無いようお願いしておきました。
さて、登っていきますが、すでにこの時点で「二合目」でした。
鋭角に手前に登るようになっています。見えているのは「八合目」ですか。
頂上に到達!
電車は結構下に見えます。
では、「品川神社」にお参りしていきましょう。
今日は帰りましょう。では、また。